七転八起?七転八倒?どっちの人生だ?
この前バラエティー番組(確かテレ東だったか)で相田みつをさんの息子さんが出演していて、相田家の話をしていました。芸術家っていうのは大変だなぁ、とつくづく感じるとともに、家族の支えや努力がないと大成しないわけで、本人が素晴らしいと思う以上に家族や周囲で支えている人たちが素晴らしいと思いました。
その番組の中で相田みつをさんが書いた書の一つが紹介されました。
「七転八倒」
「七転八起」ではないのです。「七転八倒」なのです。全く起き上がれない。常にもがき苦しんでいる。あ〜、人生って「七転八起」だよ、何かあっても立ち上がってまた前に進めばいいんだよ、とアドバイスする人が大半だと思います。でも人生ってそうなのかなぁ、って思っていた時に聞いた言葉なので、非常に脳に残る言葉でした。
そうなんだよなぁ。「七転八起」なんてうまく気持ちを切り替えたり、物事が進むことなんてそんなに多くはないんだよなぁ、って思いました。七転八倒でもがき苦しんで、藁にもすがる気持ちで努力して、その先にあるのが成功か失敗か、幸せか不幸か、なんて誰もわからないし自分自身もわからない。でもとにかくもがき苦しむしかないんだな~、って思うと少し気持ちが軽くなりました。どうにかなるかな、と思うと同時にどうにかなるかなんてことさえも分からないんだから、その時その時をもがき苦しんで、それでもうまくいかなかったらそれはもう自分の力ではどうにもならないと思えばいいか、と。
七転八倒と七転八起の違いも確認しておきましょう。新明解国語辞典より引用。
七転八倒
苦しみの余り、あちらへ転がりこちらへ転がりすること。
七転八起
何度失敗しても、あきらめず、そのたびに勇気を出して立ち上がること。
意味としては七転八起の方がかっこいいと思います。勇気を出して立ち上がるわけですから。でも、時にはその勇気も出ないほど打ちのめされることだってある。だからこそ相田みつをは七転八倒という言葉の方を選んだと思います。
確かにかっこいい言葉の方を使いたくなるのが心情ですが、そこを敢えて人の気持ちに寄り添った言葉を使ったところに共感を得ました。
勇気が出ない時だってある。人間だもの。