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tsubameのイロイロ

おもったこと、きづいたこと、イロイロ

Go to travel, Go to eatに見る、FMEA及びリスクアセスメントの大切さ。

Go to travel, Go to eatにおける政府及び監督官庁の後手後手の対応についてはテレビで連日報道されている通りであり、このブログで書くまでもないと考えます。Web上には細かい説明が多々なされているので、必要な方はそちらをご覧ください。本ブログでは「何でこんなことになってしまうのか?」ということを考えたいと思います。

考えてみればわかることなのに、何でわざわざ抜け道を放っておいて制度を開始したのか。納期の問題なのか?
私は製造業に従事し、製造スタッフの業務を行っています。納期が問題だとしても、問題のある製品を製造・出荷することはありません。出荷後に顧客からクレームが来たら、信用が下がりますし、クレーム対応による業務増加により、通常の生産量・生産率も低下します。
これが環境・安全衛生であれば、これも大きな問題です。環境・安全衛生は法に直結します。これらは全て法の基準に従うものであり、法定基準を超えた場合は生産は停止し、罰則も課せられます。そのため、それら法律・政令を守るために、生産時に何をするか。それがFMEAであり、リスクアセスメントです。

FMEAはFailure Mode and Effect Analysis の略で、日本語では「故障モード及び影響の分析」となります。リスクアセスメントは潜在する、もしくは顕在するリスクの分析です。
何か物事を始めるとき「何か起きたらどうしよう」という悩みを、手順に従って定型的に実施することがこれらの手法です。「何か」が起きた時、それがどのような影響を及ぼすのか、どのように検出するのか、影響の大きさと範囲はどれくらいなのか。複数の事象が発生する場合は、どこから対応するのか優先順位を決める。優先順位が決まったら、どのように対策を施すのか。
これらの手法は「作業前」に行います。未知の事象が生じた場合は「事象発生後」に行うこともありますが、新規の案件の場合は「作業前」に実施します。事前に課題を洗い出し、未知のリスク・故障モードを既知にして事前に対策を施しておく。その後に試行、もしくは正式に実行する。これがリスクや故障を事前に抑えておく方法です。

前置きがだいぶ長くなりましたが。今回のGo to travel, Go to eatのバタバタ。これは完全に人災です。環境安全衛生で言えば法令違反。工場で同じようなことが起きて、工場火災や爆発が起きたら労働基準監督署、消防署、警察署への通知。工場は生産停止です。
それを政府及び官庁が行っているという事実は救いようがありません。この業務に関わっている人はFMEAやリスクアセスメントという言葉や内容を知っていたのでしょうか。また、行ったことはあるのでしょうか。私は「ない」と言わざるをえません。

FMEAもリスクアセスメントも手間です。ただし、その手間を欠かさないことによって、その後に発生するより煩雑な、そして生産性のない業務を減らすことが可能となります。「急がば回れ」という言葉の通り、そして「段取り」を怠らないこと、これらが何においても大切なことと実感する出来事でした。